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全応創命(全てに呼応して創造される命)

 

安部浩之作品No,070406
文 kohsi

 

形あるものは、漏れることなく、「誕生・発展・消滅」の3段階を経て、次の因子層へと向かいます。

また 「気体・液体・固体」という3特性は、

単一種の存在が三つの周辺環境に順応していくことの証しでもあるのです。

これが有機・無機の全てをトータルに見た時の「3段階・3特性」という現実の相です。

このような諸相に対して、私たちが、

単純に現行の物理学や科学・力学に準(なぞら)えるのは危険です。


なぜならば、形あるものの根幹に「愛」が存在し、

全ての事象に「意志」という連結子が働いているからです


これは、一面的な支・力・作用といった外相の理屈ではなく、

物性の離散集合といった内性の理として必須となる力です。

要するに、総方向への急進力がなければ形が形として形成されないということを示し ます。
 

卵から生まれる生命を例えてみましょう。

卵の殻を例にすれば、卵の殻は、生命と外界との結界となり、

生命の誕生は、陰的世界から陽的世界へ向かっていくために力を陽に向けて行使します。

陽に向かう力は陰的世界であった卵を置き去りにし、活動的な歩みを始めます。

残った卵は、役割をここで放棄し、その存在は自然総体(ここでは大地)に吸収されていきます。

しかし、卵の殻が果たす役割りはその時だけではありません。

卵の殻は様々な栄養素に分解され、

他の命を育むことで、卵から生まれた生命の陰的要素を消し去るのです

こうした仕組みが正常に働くことによって、生誕を自然総体が「認知」します。

この「認知」は生誕情報のやり取りであり、周辺の生命環境に限らず、

自然総体全体として認知する のです。

つまり、殻が大地に帰ることによって、大地は勿論、木々、大気、水などの全てが総出で、

誕生した命を認知し、陰陽バランス調整をしつつ発展を促していくのです。

こうした繰り返しによって、正常なる生誕運動が成立しているのです。

そこには、 内外に向かう力の量が多ければ多いほど、中心性は高まり、

やがてその因子の特性を帯びた固有の形状が成り立つという法則もあります。

また、形あるものの生誕は、

人智を越え、自然総体に偏在するあらゆる力の一時的集結が必要不可欠です。

こうした広大なスケールの中で、 ひとつの形・命が成り立つのです。

即ち、「てに呼して造される」”全応創命”と 言ってよいのです。

つまり、私たちの生活で言えば、 思想・文化・科学といった要素のどれも、

単独で創造に寄与することはありません。

必ず全てに呼応することによって成立するように出来ています。

全応創命の根底には、他項でも記した「三点の法則」があります。ご確認下さい。

 

「私の命は私のもの」と、そう思っていた。

だけど、

多くの時を経て、命がここに「ある」ということは

そこに

とてつもなく、広大な時の連鎖と

とてつもなく、広大な空間の連鎖と

とてつもなく、小さな命の集積の上に

やっと

やっと成立する命だと知ると

故(ゆえ)知れず

腰の曲がった母を想っては、胸がつまり

故しれず

虫を見ては、胸がつまり

涙があふれてくるのです。

そして、

全てのものに

天地の恵みが注ぎ、幸せであれ、と

祈る私を止めることができないのです。

 

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