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雑木の家がベスト !

安部浩之作品No,070408-1

                                          文・Phot,kohsi

最近では、様々な新建材が生まれています。

それら新建材は全て画一化・均一化され建築効率のみを優先して企図されています。

しかし、本来人間にとって、人間の免役性にとっては、どのような建材が理想なのでしょうか?

一般住宅を考える場合、欧米ではレンガ・石・土などがありますが、

日本は高温多湿という気候風土であり、躯体構造は伝来の木造、土壁が理想となります。

特に躯体については木造、中でも一般に言うところの「雑木」が理想です。

「雑木」とは不名誉な呼び名ですが、

一般に建築に使われるヒノキやスギ以外の木は、まとめて雑木と呼ばれています。

全く生産者側の発想から生まれた言葉で、

本来は適材適所に応じて木の種類が選別され家が建てられるべきなのです。

なぜなら

地球上には、様々な木の種類があります。

ですから、そこに建つ家も様々な木の特性を考慮して建てられるべきだということです。

自然は巧妙にその土地にふさわしい木を育てています。

例えば、

アカマツは、地表を覆う物があると発芽しない性質があるため尾根筋に育っています。

クヌギは、火山噴出物の土壌の上の緩やかな斜面や平地に育ちます。

さらに、「雑木林」という言葉もありますが、

「雑木林」でさえ、場・空間に適した、木が群生しているのです。

つまり、

地球上には、様々な波長・特性の違う木があり、その混在によって地表が覆われ

その恩恵を受けて生物が発生しています。

人間も同じ生物として、

波長の違う木に囲まれて生活することで「場が整い、バランス調整される」

結果として免役性が高まる、という現象がおきるのです。

 

1例ですが、

杉や松の巣材が発する芳香性炭化水素は

肝ミクロソーム酵素の生合成を引き起こし毒性として発生しますが

("Guide for the Care and use of Laboratory Animals"より)

他の樹木がこの成合性をうち消す働きがあります。

 

また、全ての物性に目的がありますが、家は人が住む場としての空間です。

ならば人は、どのような生き物であるか?ここが問題となるのは自然の理です。

人には骨があり皮膚があり筋肉があり脂肪があり、五臓六腑があり・・・・・

と単一な構成要素ではなく様々なパーツで成り立っています。

だからこそ、様々なパーツで囲まれるというのがベストな状態だと言うことです。

例えば臓器は、それぞれ、周波帯域とリズムの差があります。

心臓のリズム・肝臓のリズムとは違います。(他項「臓器には、それぞれ 音(リズム)がある」に詳しい)

 

また、

木材も、「杉のリズム」と「マツのリズム」とは違います。

だからこそ、多種雑多な木材に囲まれるということは、それだけで体内バランス調整をもする力を有することになります。

にも係わらず、木造ブームとばかりに、バランスを考えずに、全てをヒノキ・全てを杉などで構成すると

逆効果な結果を招いてしまうのです。

しかも、人工的に杉林などが造作されますから、過剰に杉花粉が発生するという副産物も生まれます。

最近では「温暖化防止」とばかりに、海外に繁殖のよい1種類の樹木を植える権利ビジネスが生まれていますが

愚の骨頂どころか、生態系を逆に崩す結果となります。自然には、自然の繁殖がベストなのです。

 

・湿気の多い土台に「栗材」を使用すると。建築後百数十年年経過しても補修の要はありません。

・敷居には、油成分が多く硬く、摩擦に強く、滑りの良い「松材」が適しています。

・大黒柱などには硬く丈夫で、光沢感のある「けやき材」が視覚的にも重厚さを感じさせ適しています。

・梁には横にしても抜群の強度を確保する「松材」が適しています。
 

このように、特性の違う木材を適材適所に使用するということです。

 

これは木材に限ることではなく、本講座に一貫している「混在する地球」である以上、

建築も人も、混在して、弱点を補い合い・長所を生かし合い、結果として1つが仕上がる

これが正常な状態であり、環境にも優しいという事です。

 

現在、時代を追うごとに

画一的な、建材・環境に囲まれた空間が出来上がりつつあり、

花粉症やアトピーなど、かつてなかった病、ついにはアズベスト問題まで生まれています。

全て、経済効率主導の社会システムがもたらした住環境破壊と言えます。

 

現在、トガ・杉・檜・クワ・クス・カキ・クリ・クヌギ・ナラ・シイ・ツゲ・イチョウ・キャラ・・・・・

など、それぞれの木材の、本体特性角度、

月・太陽との季節に応じた傾斜関係、光源種別、水環境等を調査研究中ですが

おろかにも日本では、画一的建材が横行し、職人・流通とどれを取っても雑木建築には負荷がかかります。

ですから、完全な雑木建築は無理にしても、最小限でも他品種を適材適所に使用されることをお勧めします。

また

日々の生活の中では、可能な限り、多種の木に囲まれた生活が理想であり

家具や置物など、

・こだわりの木材選び

・こだわりの自然素材選び

を偏らずに雑多に揃えることをお勧めします。

 

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