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家族は、まず聞くから

  

夫婦が、親子が、兄弟姉妹が一緒に住み、衣食を共にし、喜怒哀楽を共にする。

これは、素晴らしいことです。

ここが雛形となって社会に水平展開していきます。

ですから

ここで、比較対比を超えた確かな

「幸福の基準」

を醸成しておかなければなりません。

そのためには、まず親が、単純に

高学歴→高給→幸せ

と言った時代遅れの間違った発想を早く脱却しなければなりませんし、

お金で全ての尺度を図ろうとする、その価値基準も見直さなければなりません。

既に、時代を追うごとに高学歴の価値観は薄くなっています。

金のためなら何をしてもいい。

という価値観は既に膿(うみ)出しが始まっています。

 

このことに関連して、28歳の女性が新聞投稿した文章を以下に紹介します。ご一読下さい。

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私は4人姉妹の長女として、育ちました。

小学校3年の時、友達が、

「大きなおひな様の人形を買ってもらった」

と学校で自慢していました。

そして、いつものように、その矛(ほこ)先は私のところにきました。

「あなたの家は女の子が姉妹で4人もいるんだから、

   さぞかし立派なおひな様が、家には置いてあるんでしょう?」

と聴いてきました。

私の家は、学校でも有名な貧乏な家だったから

人形を買えないことをわかって、わざと聞いてきたのです。

これまで、

「ない」

ということを一言でもいうと、周りを囲んで、こづかれていじめられていました。

小学校3年の当時は、妙なプライドもあったので

答えに詰まってしまって、「ひな人形が無い」と言う答えが素直に言えないで、

情けない思いをして家に帰りました。

私は、お母さんにそのことを正直にうち明けました。

すると、お母さんは夜

お風呂上がりの湯気の立つ娘を1人づつ、

4人、並べて座らせました。

お母さんは、離れてながめたり、

近くに寄って髪の形や寝巻きを整えてくれたりしました。

「どの子が、一番可愛いかなー?」

と言うので、私たちは、みんな精一杯のすまし顔で、お母さんを見つめました。

お母さんは腕組みをして、うなづいていたけど

「みんなかわいいね、

       うちのおひな様は、どこの家の人形よりも、一番可愛いよ」

と言ってくれました。

私達、姉妹はそれだけで満足でした。

そして、

折り紙で着物をつくり、顔を書いて、くっつけて、

大きなダンボール箱に貼り付けました。

これが我が家のひな人形となって何年もの間、桃の節句を祝ってくれました。

高価な人形よりも、この不揃(ぞろ)いなお雛様の方が私達姉妹には良かった。

お母さんは、私達にお金で買えないものをふんだんに与えてくれた。

子供の心を、いつも明るく受け止めてくれた。

感謝の思いを込めて、今、ここに書きます。  (原文一部変更)

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ここには

母親の賢さ、母親の愛情、貴賤を超えた不動の愛

それを受け止める子供の素直な命があります。

家族愛というのは、

決してお金がなければ育まれないものではありません。

「せめて人並みに・・・・」

と物を買い与えて済むものでもありません。

夫婦も親子も兄弟姉妹も

まず、

 

1,キチンと聞く、

2,相手の気持ちを理解する

3,気持ちを共有し、喜怒哀楽を共にする

 

家族愛を育む第一ステップです。

ここから心の通った智慧や愛情が生まれます。

 

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