人の幸せを祈る

驚きの日常習慣、主語を相手にしてみる
 


安部浩之作品No,110909
                   文Kohsi

私は、仕事をする前にいつも心掛けている事があります。それは、仕事の前に必ず願い事をする習慣です。願いの言葉はいつも同じで
「今日も人の役に立ちますように・・・」
という言葉です。
しかし、いざ仕事に入り忙しくなると、ややもすると、それがただの標語になり、初心は薄らぎ・・・
手際よく・・・
が優先してしまう場合があります。確かに「手際よく」は大切ですが、そこに傾斜してしまうとイイ仕事はできません。クレームのない仕事に終始してしまうからです。のみならず、過不足ない仕事というゴールは、取り組む側も、そこに「歓び」や「やる気」を削ぐ傾向を生み出し、特に、そういう発想の管理者の下での仕事は
「急げ、もっと手際よく、要領よく、時間がない・・・・」
が連発され、職場ムードが沈滞化していきます。
これでは仕事は広がりを見せません。口コミで良き評判が立つことも、客を呼び寄せる事も出来ません。
しかし、これを瞬時に解決する発想の転換法があります。それがここのタイトルでもある。
「主語を相手にする」という事です。
 「私は、この人(客)に何が出来るだろうか」
 「私は、この子に何が出来るだろうか」
 「私は、この夫(妻)に何が出来るだろうか」
一見、「為に尽くす」を感じさせる美しい言葉ですが、すべて、「私」が主語です。これを
 「この人は、何をして欲しいのだろうか」
 「この子は、何がしたいのだろうか」
 「夫(妻)は、何がして欲しいのだろうか」
と相手を主語にして発想するのです。
前者「私は」が主語の場合は、まず「私」が先で、「私の能力で、出来る範囲の事をしよう」となります。これは、時として、相手が望んでもいない「余計なお世話」を生み出す場合があります。また、余力に応じて 、力が余ったら手を出します・・・という独善の発想があります。
しかし、後者の相手を主語にすると、まず、「ハズレ」が無くなるばかりか、実に勘どころを得た対応が出来、冒頭に掲げた「人の役に立つ」仕事が出来ます。また、役に立つから「楽しい」となります。それだけではありません。相手の願いが主語だから、その相手の願いを成就するための「自分磨き」が発生します。結局「相手を主語にすると・・・」をまとめると

家族では、勘どころを得た助け合いが実現し、和合の気が巡り始める。
 先日、夫婦関係がギクシャクしている男性にこのことを伝えると「なるほど〜」とうなずき、自分なりに考えました。
「カミさんは何をして欲しいのかな〜」
と、すると、それは単純な事ですが「肩もみ」だったそうです。毎日のように
「ねェ、肩もんでよ」を思い出したのです。それから、早速、「おい!肩もんであげるよ」をご主人から・・・、数日たって、「夫婦間に笑いが生まれ、何となくイイ感じです」とのこと。
他項にて離婚原因の1位に「性格の不一致」があることを紹介しましたが、お互い精一杯やっていると思っているのに、ズレまくるから、最後には「性格の不一致」などという漠然とした言葉で解決し、逃げようとするのです。日常から「相手のして欲しい事」を考えるクセのある夫婦には離婚などという言葉は発生しません。どうぞ、自分の心を見つめなおし、私が何をしてあげれるか?ではなく「何をして欲しいのか?」を考えてみて下さい。こんな簡単な事が意外な突破口になるのです。


友人関係では、親密度が急激に深まる。

友が、一番 問題としていることに肉薄するので当たり前です。我が権利ばかりを主張し、自分中心主義が横行する現代、友人関係はややもすると表面的な係わりに終始しがちです。そこを超えて、どうぞ、いつもお付き合いしている友の悩みに肉薄して下さい。お付き合いしている人であればこそ、あなたは既にその人の悩みに気づいているはずです。

会社では、ユーザーの視点に立つ感性が養われるので、商品開発も企画もサービスも
  全て、的を得て、需要・供給のバランスが整い発展する。

良い商品が売れるのではありません。ユーザーが求めている商品をタイミング良く提供出来るかです。ユーザーの視点を軸にすると、新たな視点が生まれてきます。また日頃から「人が求めているもの」に敏感になっていると、相手の「困った」を自然と聞きたくなったりします。ここから勘どころを得た様々な商品が開発されたりサービス事業がうまれたりします。
一方、先日、NHKテレビ(くらしのパートナー・グラン・ジュテ)でCLS医療(院内での子どものための心理支援 、詳しくは下記 注1)に携わる女性が奮戦する中、ちょうどそのことを語っていました。人の心に深く係わる、介護・看護の現場では、その事が浮き彫りにされやすいでしょう。

注1
チャイルド・ライフ・スペシャリスト(Child Life Specialist、略してCLS)は、医療環境にある子どもや家族に心理社会的支援(Psychosocial Care)を提供する専門職。子どもや家族が抱える精神的負担を軽減して、主体的に医療体験に臨めるよう支援する。アメリカやカナダでは一般的な職業、先頃は「グッドライフ」 (関西テレビ)というドラマで取り上げられ話題にもなったが日本での認知度はまだ低く、殆ど知られていない。

家庭も組織もこれだけ大きく変化します。これはもう、とんでもない差です。ちょっと主語を変える習慣を持つだけす。
どうぞ、身近な人から始め日常生活に根付かせて下さい。これが和合の秘訣でもあり、菩薩道であり、異質を混在させた地球人に科せられた大切な役割でもあるのです。

 

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