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共感覚育成(ラーニング2 ・画像から・・・)

−五感循環法−

安部浩之作品No,080725

                               文・Phot,Kohsi

現代は、スローライフブームに始まり、学校や各種イベントなど、様々な自然体験が企画されています。

しかし、すでにフリースクールなどでは、

「また、やらせるのか?」

と児童もその流れに閉塞ぎみで諸問題が派生し始めています。

自然体験の意義、そしてその中から自然の価値を、どう伝え、導くのか?

そこを大人達が、省みることなく、ただ子供を自然の中に投げ出すだけで、導きに至っていないのです。

万一、相応の感想・成果が取れても、そこに何の理念もないので、

単なる、一過性の異次元体験に終始してしまうのです。

そして、ついには、回を重ねるほどに、「疲れた、暑かった、やっと終わった、きつかった・・・」

という感想ばかりの結果が生まれているのです。

実は、自然体験は、科目を超え、科学も宗教も文学も・・・・と様々な領域が網羅されており、

指導者の力量に大きく左右されてしまうのです。

ここでは、そういう反省からも、「「画像」からの共感覚育成」ということで、

1つの実験結果を紹介したいと思います。

 

画像から音・香り・形・・・を感じる

最初にUPした滝の画像をご覧下さい。

これは「乙原(おとばる)の滝」(別府市乙原)の画像です。

この画像を使用し、以下の手順で進めました。(2008.7実施)  

  ・被験者→小学校6年生1人・小学校3年生2人・40代大人1人 計4人
  ・測定機器→ニプロ NIPRO CM1-1(COCORO METER アミラーゼ分析方式)

Step

内   容

子供達に画像を見せ、感じる事を言ってもらう。
 音は? 香りは? と五感情報を聞く。 (ほぼ無回答)  アミラーゼ測定分析
現地に行く。
現地で、同様に五感情報を聞く。
2日後、再び画像のみを見せ、測定。             アミラーゼ測定分析

測定結果は以下の通り

以上の通り、見事な結果が出ます。まとめると

  ・このうち、すでに同場所の滝に行った事がある人は2名(大人1人・子供1人)

  ・2日後に画像を見せ、五感情報を聞くと、滝の音は勿論、鳥の声、木々の葉音・・

   など様々な感想が出、記憶していた。(質問しただけに当然の結果)

  ・4名全員が減少率の差はあるが、17KU/L〜62KU/Lまで数値を下げた

  ・ストレス平均減少率(アミラーゼ平均減少率)は、31.5KU/L

つまり、すでに体験した・しないに係わらず

「画像から音や香りや空気と五感連想出来る方がアミラーゼ値は下がり、ストレス度が下がる」

ということです。

すでに体験していた人も五感に意識を注ぐだけでこのように顕著な減少が見られたのです。

ですから、どこか自然体験の場に赴くような事があれば、

現地で、「意識的に五感を問う(個人的には感じる)」ということだけで、

これだけの効果が現れるということです。

具体的には、以下のような工夫をお勧めします。

  ・学校や地域行事など集団での自然体験では、上記のステップで進めてみる。

  ・現地に赴く前に、ネットなどで画像入手し、軽く現地を五感イメージしてみる。

  ・心地よいと感じた場などは携帯カメラやデジカメで画像を撮り、後日、再び五感で感じる。

などです。

UP画像の通り、自然界はすでに五感が共鳴しあっていますから、

自然を対象として五感を意識的に連鎖させていく、というのは心身ともに調律効果があるのです。

簡単な事ですから、難しく考えずに

  ・夜空の星々の輝き・・・

  ・絶景だった車中からの景色・・・

  ・心和んだ海の香り・・・

そんな空間に接したら、音をたずね、香りをたずね・・・・と

五感で感じる。実験の通り、最初は意識的でも効果がある訳ですから、

ぜひそれを自然と習慣化されるようおすすめします。

そして、その心地よさを、少しでも五感で感じることが出来たのであれば、その時、

こういった心地よさを無償で提供してくれた大自然

命を頂き、こうして心地よい一時(ひととき)を頂き、本当に有り難うございます。

と感謝の思いを注いで下さい。

必ずやその感性が、「豊かな心・本来の幸せ」に通じていくのです。

 

以下は、「共感覚育成 第2回、ラーニング2実施」の報告

同様に上記の要領で実施致しました。結果は以下の通り、21ku/lの現象が見られました。

特に、今回2回目では、現地(滝)への往復の途上で、引率者が語った内容は以下

 ・石の出来るまで(その歴史・石の名称・石の特徴)の説明

 ・地層を見せて、なぜ地層が生じたか?の説明

 ・セミの声の解説(ひぐらしとアブラゼミ・・・等)の違いの説明

 ・木の根っこが石を割って伸びている姿を見せ、その生命力の力強さを説明

 ・道端の川の水がどこから流れ込み、どこに行き、どう地球を循環しているかの説明

 ・帰途においては遠回りであるが、浄水場に行き、家庭水道の説明

等 、特に印象深かったのは、現地で上図の通り、2匹のカニを見つけ、
一時は紙コップに入れて持ち帰ろうとした。しかし、1人から
「ここで生まれたのだからここに返してあげよう」
との言葉、そこで、カニを川に返してあげた。そして
「今、カニがありがとうって言ったよ」
と言うと、3人とも得意そうな素晴らしい笑みを浮かべていたのは印象深かった。虫の側に立って発想出来る素晴らしさ、大切さを今回のラーニングでは体感した。
   ・「共感覚育成」の目的・意義はここにあれ !
  ・この思いが、将来、かけがえのない「優しさ」となれ !
と願った。

 

お願い
感性を高める「五感循環」は、それぞれに工夫やアイデアがあるかと思います。お気づきの工夫などありましたら、ぜひ下記、
感想メールより、お寄せ下さい。サイト上で公開し情報共有できれば・・と思います。   

 

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