靴を揃えて大和心(けじめの心)を育む | |
これまで、日本文化の特質は、 ・和の文化 ・わびさびの文化 ・国風文化(島国文化) ・恥(はじ)の文化(菊と刀「ベネディクト」) ・混交(ごちゃまぜ)文化 など様々な切り口で語られてきましたが、現象に潜在する性分に視点をおくと 「結界・ケジメの文化」 と言うことができます。 衣替え・祭り・季節の諸行事・地域行事・・・・・など 古来より「節目・仕切り・ケジメ」を取り込み大切にしてきたのです。 それは、この背後に、変化する自然(四季)や、自然を貴ぶ畏怖・尊仰がベースにあります。 そして、この「節目」は生活のあらゆるシーンで生きています。特に生活に密着する住環境を見ると
・塀、門扉。 ・床の間を高くして、仕切り、掛け軸・生け花などを飾り、別次元を創出。 ・廊下と部屋は敷居で高低差を設ける。 ・柱が表に出て、面を仕切る ・襖・障子でカスタマイズ可能な仕切りを設置。 ・部屋と外の間に廊下を設ける。 そして、決定的に大切なのが玄関であり、玄関で靴を脱ぐことで、ようやく次のステージである屋内に 入る事が出来ます。 西欧のように、土足のまま屋内に入り込む、に比べるとめんどくさい行為かもしれません。 しかし、靴をぬぐ→足もとにケジメをつける。 ということで、心をリセットしてきたのです。 これは、類(たぐ)い希(まれ)に優れた、ありがたい習慣です。 この習慣が、ケジメの心・忠孝の心・他を貴ぶ心・勤労の精神・・・・ といった、大和心を育んできたのです。 一旦、人がこのことに気づき、心を注ぐことができたならば、 「靴を揃える」ということが、どんなに生活の中で大切な所作であるか理解できます。 例えば、 「今日は何もしなくてよい」 となると、人は何をするでもなく、すべき事を先送りし、ダラリと時間を過ごしてしまうものですが、 たった1つ 「今日は4時に買い物に行く」 と決めるだけで、その前後の時間がリズムを産み出し、スピーディーになります。 竹に節があり、強いしなりを産み出すように、私達の生活はそれぞれのシーンに節目を創出する事で 生活を律する事が出来るのです。 そういう意味からも、私達はありがたい習慣に満ちているとも言えます。 玄関で靴を脱ぎ、キチンと揃える。 ということは己を律し、ひいては大和心を陶冶(とうや)することに通じているのです。 「靴そろえ」をおろそかにし始めた戦後育ちが日本文化を希薄にさせ、 ポテンシャルを低下させたのです。 今改めて、「靴そろえ」の意義深き事に気づかなければなりません。
大和心(魂)とは何か! 日本人の魂とは! 大和の心が失われている! と叫び、論ずる前に、さっき脱ぎ捨てた靴を揃える事です。 それが大和心であり、この時空にふさわしい生き方です。 さあ 今日も明日も、感謝の心で靴を揃えましょう。
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