「五感」と陰陽五行
陰陽思想・五行思想については、他項でも触れましたのでここでは省略します。
ここでは、天・人・地の三才との関係を図示しますので、その全体像を理解頂きたいと思います。
この理解で、「五感」がもつ意味を、より理解を深めることが出来ます。
このように、森羅万象の構成要素を5分類して発想する考えは五行説に始まり、
それは、漢方や経絡・鍼灸はじめ、中医学、東洋思想に大きな影響を与えています。
当然の事ながら、本項でテーマとしている、「五感」も、例えば、
・味を五味(酸・苦・甘・辛・鹹 (塩辛さ) )
・音を五音(角・徴・宮・商・羽)または五声(呼・言・歌・哭・呻)
・色を五色( 青・紅・黄・白・黒 )
と感覚器官の対象物を五分類し、それぞえ木・火・土・金・水の五行に配属させ解釈します。
この手法は、5つの分類項を五行(木・火・土・金・水)とし、
「相生」「相剋(相克)」「比和」「相乗」「相侮」という運動法則で解明、調整しようとするもので、
地球の現象界を分析するには、その特性からみても有益です。
特に、五行思想は、その分析能力に優れており、
「陰陽思想」をより生活レベルに具現化するには必須の要諦であったとも言えます。
※
陰陽思想と五行思想はもともとは別のものであり春秋・戦国時代において統合体系化した。
そして、上図の通り、図形で言えば五角形、
数字では2・5・6という数を割り当てる事が出来、地球環境を象徴します。
その共鳴関係をまとめると図表の通り
・天 ∞ 3・6・9 ∞ 3点道 ∞ 六角形
・人 ∞ 1・4・7 ∞ 時空統一場 ∞ 四角形(六面体)
・地 ∞ 2・5・8 ∞ 陰陽五行 ∞ 五角形
となります。大方、このあたりを大局的に把握すれば、五行の一々を頭に入れる必要はありません。
というのも、私的な判断ですが、五行思想には、かなり強引な割付配置も一部に見られるからです。
おそらく万象のエレメント解析では空海の右に出るものはないでしょう。
いわゆる、「六大思想」なるもので、
「地大」「水大」「火大」「風大」「空大」「識大」と空海は、伝来の「五大思想」に「識大」を付加したのです。
これについては、上図で言えば「天地の一体化」と表現して良いものです。
ただ、ここでは主題ではないので他項にて詳しく説明したいと思います。
あくまでも、ここでは、大局的に天・人・地の三才と数字・図形の関係鳴を理解頂きたいと思います。
以下、質問メールを頂きました。
横浜市 M様
ここでの主旨とは外れるかと思いますが、マクロビオティックを実践しています。マクロビにおいても陰陽の世界観から食物の分類を行いますが、まだまだ勉強不足ですが五行の事はあまり出てこないような?このあたりどうなんでしょう。
回答
ご承知の通り、マクロビオティックは、現在では久司氏・大森氏などが有名ですが、その根幹となる思想は桜沢如一(さくらざわゆきかず、欧米ではジョージ・オーサワ)氏の「無双原理」から来ています。桜沢氏は陰陽原理から、石塚左玄氏のナトリウムとカリウムの陰陽食養原理とを合流させた位置にあります。氏は戦前戦後の生まれであり、当時、五行思想が決して無かった、伝わっていなかった訳ではありません。むしろ、食養の体系化においては無視できない課題でもあったと判断します。しかしながら、森下様もご指摘の通り、中国のように五行思想からくる、五分類法を取っていません。桜沢氏は、食品の分析よりも、むしろ、実践に力点を置くが故に独自の
「無双原理の五原則(※下記注1)ないし無双原理十二定理(※下記)」
にとどめ、食養道を確立したのです。この事実を私は、展開を予測した桜沢氏の卓見であると判断しています。その理由としては以下、
・一般に「陰陽五行」というが、「陰陽」と「五行」をセットにして展開した場合、
分類パーツの多い「五行」優位の状況が生まれ、本題である陰陽原理が希薄となり、
王道を外れてしまう。
・上記図解の通り、性分の違いを知っていたので混在させなかった。
・五行思想の「時として強引さ」を知っていた。
・五行思想は分析分野では良いが、展開面では逆にエネルギー値が落ちることを知っていた。
等です。
結局、無双原理に五行思想が入っていないがために、現在これだけの世界に冠たる、実践的なマクロビオティックになり、菜食運動の基礎になったと解釈しています。
つまり、桜沢氏は、未来の食養道展開面においても陰陽原理を適合させた、と解釈して良いのかもしれません。
※注1 桜沢氏の説く、無双原理の基本五原則は以下
1.食はいのちなり
2.身土不二の原則
3.一物全体食
4.主食は穀物
5.陰陽の調和
※注2 桜沢氏の説く、無双原理の十二定理は以下
1.宇宙は陰陽の秩序をもって展開す。
2.陰陽秩序は無限に、不断にいたるところに生起し、相関交渉盛衰す。
3.求心、圧縮、下降の性を有するものを【陽】といい、遠心、拡散、上昇の性を有するものを【陰】という。(故に、活動や熱は陽から、静かさや冷たさは陰から生まれる)
4.陽は陰を、陰は陽を相牽引す。
5.森羅万象は、あらゆる比例に於いて陰陽両性を荷帯せる宇宙の本体の電子的微分子の複雑なる高次元の集合なり。
6.森羅万象は、単に種々なる程度の動的均衡を示す陰陽の集合なり。
7.絶対純粋なる陰または陽なる事物は存在せず、総じて相対性なり。
8.一物といえども中性なるものなし。 必ず陰陽多寡あり。
9.森羅万象の相互の引力は、その対者間の陰陽差に比例す。
10.同名の性は相排斥す。 同名の性の排斥力はその差に逆比例す。
11.陰極まりて陽生じ、陽極まりて陰生ず。
12.万物その内奥に陽を付帯し、外側に陰を付帯す。
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